お医者さんは、いつも大忙しです。1時間に10人以上の診断は普通です。治療にエネルギーを注ぐだけで精一杯です。

とても診断書を書く時間がありません。医師の診断書の字は汚くて読めないというのが定番ですが、頭ではいろいろ書こうと思っても手がついていっていないのです。救急病院の場合、次から次へと重篤な患者が来るわけですから、診断書がなおざりにされるのは、当然のことといえるでしょう。

また、事故ではない怪我や交通事故でも後遺障害が残らない場合、診断書なんて特に意味をなさない単なる治療費の保険請求の為の書類に過ぎません。その内容が問われることはありません。

ですから、ついつい目立つ怪我だけ記載ということが頻繁に起こります。そして、毎月の保険請求の為の診断書には、前の月の記載そのまま丸写し…。後遺障害診断書の段階になって初めて、ずっと症状を訴えているのに、記載されていなかった事項が文面に出てくることになります。

これが、後遺障害認定の場面で大きな障壁となってくるのです。

後遺障害認定は、事故直後から症状固定までの症状の一貫性も検討します。症状固定直前になって、(書面上)現れた症状は、事故との因果関係を否定される方向に判断されやすいのです。

後遺障害等級認定作業は、あくまで書面審査なので、いくら症状を最初から訴えていたとしても、記載されていない以上、そんな症状は無かった扱いとなります。

私がいつも「事故直後」の相談が大切と言っているのは、こういうことのチェックもしなくてはならないからです。