高次脳機能障害④【等級認定】

高次脳機能障害の等級認定は?

高次脳機能障害に関しては、労災保険の認定基準があります。
しかし、労災保険は就労者を対象とするのに対し、交通事故では、子どもや高齢者も被害者となります。
そこで、交通事故では、労災保険とは異なる検討をする必要があり、その検討にあたっては、「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」(報告書)(平成12年12月18日)で示された「脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方」が参考になります。

脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方

障害認定基準補足的な考え方
別表第1
1級1号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
別表第1
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
別表第2
3級3号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、身労務に服することができないもの自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
別表第2
5級2号
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
別表第2
7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服する事ができないもの一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行う事ができないもの
別表第2
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服する事ができる労務が相当な程度に制限されるもの一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、業効率や作業持続力などに問題があるもの

「家事従事者」の基本

こんにちは、弁護士の内堀です。

「家事従事者」の基本

今回は、交通事故賠償における「家事従事者」に関連する基本的な事項を確認していきたいと思います。

家事従事者の年収

交通事故賠償の世界では、被害者が「家事従事者」に当たる場合は、全女性の平均賃金額がその人の年収であるとみなされることになります(賠償額計算の基礎となる収入であるため、これを「基礎収入」といいます。)。ちなみに、平成27年においては、全女性の平均賃金は3,727,100円となっています。
家事に従事しているというためには、自分以外の家族のために家事を担っていることが必要になります。同世帯に本人以外の人が最低1人はいなければならず、したがって、1人暮らしの場合は家事従事者に当たりません。
専業主婦は文句なしに家事従事者といえますが、兼業主婦の場合も、勤労収入が全女性平均賃金を超えない限りは家事従事者として賠償請求する方が得になります。勤労収入を上乗せして請求できるわけではないのです。

男性でも家事従事者に

当然のことながら、家事従事者は女性に限りません。家族のために家事を行っていれば、男性でも家事従事者に当たることになります。例えば、無職の男性でも、もっぱら同居の親の介護に従事している場合は立派な家事従事者です。
もっとも、家事従事者に当たるとしても、個別具体的な事情によっては、上記の平均賃金がそのまま基礎収入として認められないこともあります。
例えば、高齢の家事従事者の場合には、年齢に応じて基礎収入を減額するという扱いがされることがあります。また、一家族のなかに家事従事者が複数いるとみられるようなときなどは、減額されてもやむを得ない場合といえるでしょう。

重度後遺障害における将来介護

こんにちは、弁護士の鳥井です。

重度後遺障害における将来介護

例えば、交通事故に遭い、高次脳機能障害による後遺障害等級2級と認定されたとします。高次脳における2級は、『神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの』とされています。
「随時介護」が必要な状態とされていることからも分かるように、基本的には何かしらの介護が将来的に必要とされる状態にあります。

将来の介護費

弁護士の仕事は、この「介護」を金銭的にどう評価するのか、言い換えれば、将来介護費として相手にいくら請求できるのかを考えることです。
この問題は、被害者の状況それぞれによって異なるので、一概にいくら請求できるということを断言することは難しいです。
過去の裁判例等を見る限り、次の2類型に分けられるのではないでしょうか。

施設や介護サービスを利用する場合

この場合、実際にかかった費用等をもとに請求額を確定することが多いようです。例えば、月20万円の施設費が実費としてかかる場合、これを平均余命分請求することが考えられます。

家族で介護する場合

この場合、費用は基本的にかからないので、介護サービスを受ける場合よりも話はややこしくなります。というのも、家族介護を金銭的にいくらと評価するのかは個人の主観もあるため、客観的な基準がないからです。
結局、介護内容を良く聴取して、客観的に大変な介護をしている場合は多く請求でき、そこまで大変な介護ではない場合は少なくしか請求できないということになります。
例えば、着替え、洗面、食事、運動の介護が必要な人と、運動の介護だけで足りる人を比較したとき、両者を同じ金額と評価することはできないと感覚的にわかると思います。

感覚的なところを、金額という客観的数値に置き換えるのは大変ですが、金額的にも大きい場合が多いので、高い等級の場合の1つの山場とされています。

高次脳機能障害③【WAIS-III】

こんにちは、弁護士の西井です。
前回、高次脳機能障害の神経心理学的検査の代表的なものとして、WAIS-IIIを紹介しました。

WAIS-IIIとは?

WAIS-IIIとは、知能検査のことであり、結果はIQ/群指数で示されます。

IQ/群指数の平均

では、平均の数値はいくつでしょうか?
その答えは、IQ/群指数が109~90であれば平均とされています。
そして、89~80であれば平均の下、79~70が境界線とされています。
逆に、130以上は特に高いとされ、わずか2.2%しかいません。
平均や平均の上の検査結果であれば高次脳機能障害を負っていないと思われる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。

平均やそれ以上であれば高次脳ではない?

平均、平均の上の検査結果であっても、高次脳機能障害を負っている可能性があることに注意が必要です。
全検査IQが平均であっても、群指数では平均を下回るものがあったり、下位検査の得点差が大きかったりすることもあり得るからです。
また、神経心理学的検査のみで社会的行動障害すべてを明らかにできません。
このように、平均、平均の上の検査結果であっても、高次脳機能障害として後遺障害等級が認められる可能性があります。

弁護士から見た、弁護士費用特約を付けておくべき2つの理由

こんにちは、弁護士の北村です。

弁護士特約

交通事故を取り扱う法律事務所のホームページで必ず目にする「弁護士費用特約」。

「今まで気にしてなかったけど実は付いていた」というよな方もいらっしゃって、弁護士費用特約を付けている方は「意外と多い」というのが実感です。

ご自身は入っていなくても配偶者だったり同居の親族、独身の方なら別居している親のものが使えたりします。火災保険や医療保険に付帯されているものもあるので、一度当たってみてはいかがでしょうか。

…というように弁護士が弁護士費用特約の有無にこだわるにはワケがあります。
今回は弁護士サイドから見た弁護士費用特約の有用性をふたつお話します。

少額賠償でも受任しやすいです

まずは何といっても「賠償金額が大きくない案件でも受任できる」ということです。
弁護士費用特約がないケースでは、弁護士は相談を受けた際に賠償額がどれくらいになるか、報酬がどれくらいになるか見通しを立てます。
賠償額が大きくない場合、弁護士サイドが単価を下げてしまうと投下した労力に対してペイしないですし、一定の単価を維持しようとすると依頼者に赤字がでてしまうという、二進も三進もいかない状況に陥ってしまいます。

そんなときに弁護士費用特約があると、賠償額が少額となる見込みでも一定程度の報酬は確保できるため、弁護士としては受任しやすいです。

立証手段の選択範囲が広がります

もうひとつは立証手段の選択肢が広がることが挙げられます。
弁護士費用はないけれども、ある程度の賠償額が見込める、すなわちある程度の報酬が確保できる可能性が高いと考えて受任するケースは勿論あります。
ただ、それが訴訟に発展した場合、弁護士はあの手この手で依頼者の損害を立証しようとするのですが、立証資料の取得にあまり費用をかけてしまうと、その費用も結局のところ依頼者が負担することとなるため、最終的な依頼者の利益が少なくなってしまうというジレンマに陥ります。そうなってくると、いきおい弁護士が資料の収集に躊躇してしまうケースも少なくありません(医師に意見書の作成を求めようものなら10万円20万円はしますし…)。

そんなときに弁護士費用特約があれば、着手金や報酬だけでなく実費も保険会社に請求することができるので、弁護士としては立証手段の選択肢がグッと広がります。

是非、弁護士費用特約を付けてください

弁護士費用特約を付けておられない方。
「次回の更新時に…」ではなく是非とも今すぐ保険会社に連絡を。

高次脳機能障害②【神経心理学的検査】

こんにちは、弁護士の西井です。

神経心理学的検査の種類は?

神経心理学的検査の結果は、高次脳機能障害の有無・程度を明らかにするために重要になります。そして、神経心理学的検査には、様々なものがあります。
神経心理学的検査の代表的なものとして、WAIS-III(Wechsler Adult Intelligence Scale-Third Edition、成人知能検査、適用年齢は16歳~89歳)、WISC-IV (Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition、知能検査、適用年齢は5歳0カ月~16歳11カ月)があります。

その他にも、知的機能に関して、MMSE(mini-mental state examination)、コース(Kohs)立方体組み合わせテストがあります。
前頭葉機能に関しては、前頭葉機能検査(FAB)があります。
記憶に関しては、三宅式記銘力検査、ウエクスラー記憶検査(WMS-R)、ベントン視覚記銘検査があります。
遂行機能に関しては、ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト(WCST)、BADSがあります。
注意に関しては、標準注意検査法(CAT)、トレイルメイキングテスト(Trail Making Test、TMT)があります。
言語機能に関しては、標準失語症検査(SLTA)、WAB(Western Aphasia Battery)失語症検査があります。

弁護士が力になります

このように、様々な検査があり、被害者の方の症状にあわせて、検査を受ける必要があります。
しかし、被害者ご本人のみならず、被害者のご家族も、耳慣れない「高次脳機能障害」という言葉に戸惑い、どのようなことに着目して、どのような症状を医師に伝えたら良いのかわからないという方が多いのではないでしょうか。
そこで、弁護士が、被害者ご本人から聴き取るだけではなく、ご家族からも被害者の方の症状を聴き取り、そのことを医師に伝えたうえで、検査を受けていただくことも、時には必要となるのです。

個人事業主の休業損害

こんにちは、弁護士の内堀です。
 今日は、交通事故被害者の方が個人事業主である場合の「休業損害」について考えてみたいと思います。

個人事業主が交通事故に遭ったら

 個人事業主が交通事故に遭い休業せざるを得なかった場合、保険会社は、被害者の確定申告書の「申告所得額」を基礎収入として、申告所得額÷365日×休業日数の金額を払います、というのが通常です。果たしてこれは妥当でしょうか。

休業損害の計算方法

 まず、被害者としては、「売上金額」の全額を補償してもらいたいと思うかもしれませんが、これではもらい過ぎになってしまいます。休業損害は、休業したことで失った利益に対する補てんを求めるものですから、「休業により支出を免れた費用」をここから差し引く必要があります。「休業により支出を免れた費用」とは、例えば、仕入れ原価、旅費・交通費などがこれに当たります。営業活動の量に応じて変動する費用であることから、変動費と呼ばれます。すなわち、休業損害は、(売上金額-変動費)÷365日×休業日数によって算定することができます。また、申告所得額=売上金額-経費(変動費+固定経費)ですから、(申告所得額+固定経費)÷365日×休業日数で計算しても同じことです。

固定経費

 固定経費の例としては、租税公課、損害保険料、地代家賃、諸会費、修繕費、リース料、減価償却費、福利厚生費などが挙げられます。これらは営業活動自体とは関係なく発生する費用といえます。
 では、水道光熱費、従業員給与、接待交際費、通信費、広告費についてはどうでしょうか。これらは、一般的には固定経費とされていますが、個別具体的事情によっては争いが生じ得るといえます。

保険会社の提案に安易に乗らないでください

 したがって、結論としては、休業損害に関して単純に申告所得額を基礎収入とする保険会社の提案に安易に乗るのではなく、申告所得額に固定経費分を上乗せすべきである旨をしっかり主張していくべき、ということになります。
 もっとも、休業によって実際に生じた損害が立証でき、その金額の方が大きいという場合は、当然そちらを請求していくことになります。

もらってないのに既払い

こんにちは、弁護士の鳥井です。

保険会社の一括対応

通常、交通事故に遭うと、警察へ届け出て、病院等で治療を受けます。
そして、その治療費は加害者が負担することが多いです。これを、保険会社の一括対応または一括払いといいます。
(時々、相手が保険使用を拒否する等して、自分で支払う場合もありますが。)

示談書の内容を見て・・・

怪我の程度に応じて必要な治療を受けて、相手と示談交渉して。事故から半年から1年後、ようやく納得のいく示談内容になり、相手から示談書が送られてきます。
読むと「既払い(治療費)○○円をのほか、☓☓円を支払う。」という内容で書かれていることが多いと思います。

既払いって?

これを見て「あれ?私治療費なんて相手からもらってないのに、なんで既払いってなってるんだ。もらってないのに、既払いって?」と思うことがあるかもしれません。

既払いにはこんな理由が!

これは少し理屈っぽい理由があります。
事故で病院で治療を受ける際、病院は「被害者」と治療契約を結びます。この時、治療費の支払い義務は「被害者」にあることになります(本来負担する必要のなかった治療をするハメになったから、相手に損害賠償請求できる訳ですね。)。
最初に書いた一括対応は「被害者の治療費支払い義務を相手が立て替えて、最後に既に支払ったものとして精算しましょう」というものです。
つまり、一括対応はあくまで被害者の代わりに立替払いをしているという理屈になり、相手からすると既に治療費は支払い済みということになる。だから、示談書のように相手から治療費を受領した訳ではないのに「既払い」として扱われるのです。

被害者と加害者の意識の違い

事故を起こした相手が負担するのが当然という被害者の意識と、本来被害者が負担するべき治療費を立て替えているに過ぎないという相手方の意識の違いが、事故後の対応を煩わしくしている一因なのかもしれませんね。

ハムレットに関する刑法学的考察?

 こんにちは、弁護士の内堀です。
 平成29年5月14日(日)、北九州芸術劇場にて、ジョン・ケアード演出、内野聖陽主演の舞台「ハムレット」を観てきました。
 さて、ハムレットといえば、to be or not to be、 that is the question(生きるか死ぬか、それが問題だ)というセリフが有名ですが、ストーリーを知らない人というのは意外に多いのではないでしょうか。私も少し前までは全く知りませんでした。

あらすじ

 あらすじはこうです。デンマーク王が急死したのち、王の弟クローディアスは王妃ガートルードと結婚し、王座に就きます。悲しみに暮れるデンマーク王子ハムレットは、ある日、父の亡霊を目撃し、亡霊から、父の死はクローディアスの毒殺によるものと告げられます。ハムレットは、おじのクローディアスに対する復讐を誓い、(なぜか)気が狂ったふりをします。そうこうしているうちに、恋人オフィーリアの父であり、王の側近であるポローニアスを王と間違えてナイフで刺し殺してしまいます。そのせいでオフィーリアは気が狂い、川で溺れて死にます。クローディアスはハムレットにイングランドへの外遊を命じ、ローゼンクランツとギルデンスターンを供につけます。そして、ハムレットの殺害を指示するイングランド王宛ての手紙を二人に預けますが、ハムレットは手紙を見つけ出し、ローゼンクランツとギルデンスターンを殺させるように書き換えます。船が海賊に襲撃されたのを利用して、ハムレットはデンマークに舞い戻りますが、ローゼンクランツとギルデンスターンはその後イングランド王により殺されてしまいます。オフィーリアの兄レアティーズは怒りに燃え、父ポローニアスの仇を打つことを決意します。クローディアスは、レアティーズを利用してハムレットを殺害することを企て、ハムレットとレアティーズの剣術試合を開催します。レアティーズは毒剣を、クローディアスは毒入りの酒を用意し、互いに協力してハムレットを殺そうとします。しかし、用意された毒酒を王妃が誤って飲んで死にます。ハムレットは毒剣で切り付けられ傷を負い、その後毒剣をハムレットが奪い、レアティーズを切り付けます。最後にハムレットはクローディアスを刺し殺し、復讐を果たしますが、レアティーズ同様、自分も毒に侵されて息絶えます。

日本だったらこんな罪に問われるかもしれません

 このように、最後には主要登場人物がみな死んでしまうという、まさに悲劇的な結末を迎えるのですが、この舞台を観ていて、ふと考えました。現代の日本でこのような事件が起こった場合、誰がどのような犯罪に問われるだろうと。登場人物も多く、やや難しい話になりますが、以下では、ハムレットを(無理矢理)刑法学的に考察していきたいと思います。
 まず、クローディアスの先王に対する殺人罪、ハムレットのクローディアスに対する殺人罪、レアティーズのハムレットに対する殺人罪が成立することは明らかです。
 時系列に沿って検討することにします。まず、ハムレットがクローディアスと思って刺し殺した相手はポローニアスでした。この点は、人違いではありますが、人を刺し殺すつもりでやはり人を死なせているので、殺人の故意が認められ、殺人罪が成立します。
 ハムレットはクローディアスが書いた手紙を書き換えることでイングランド王にローゼンクランツとギルデンスターンを殺させています。この点について、殺人を実行しているのはイングランド王であり、ハムレットはこれをそそのかしているので、殺人罪の教唆犯となるでしょう。
 王妃ガートルードはクローディアスの用意した毒入り酒を飲んで死にましたが、クローディアスはあくまでハムレットだけを殺すつもりでした。クローディアスに殺人罪は成立するのでしょうか。先ほど述べたように、人違いではあっても、人を殺すつもりで毒入り酒を用意し、やはり人を死なせているので、殺人罪は成立します。また、この点については、レアティーズとクローディアスに共謀が認められるので、レアティーズも殺人罪の共同正犯としての罪責を負います。逆にクローディアスには、レアティーズがハムレットを毒剣で切り付け殺したことについて共同正犯として殺人罪の罪責を負います。
 レアティーズの死について、ハムレットはどのような責任を負うのでしょうか。ハムレットがレアティーズを切り付けた時点では、ハムレットは剣に毒が塗ってあることを知りませんでした。また、私の見る限り、ハムレットは背中を切り付けていましたので、傷害の故意があるだけです。それでは、ハムレットに傷害致死罪が成立するでしょうか。ハムレットの刺傷行為とレアティーズの死との間に、因果関係があるかが問題になります。因果関係の判断は行為時に認識し又は認識することができた事情のみを基礎とするという通説的考え方からすれば、ハムレットが行為時に認識していなかった「剣に毒が塗ってある」という事実を因果関係判断の基礎にすることはできません。すなわち、毒の塗っていない剣で背中を切り付けることから死の結果が生じることが相当かどうかを判断することになります。結論として、背中を切り付けるという行為は、人の命を奪うほどの危険性はないと思われるので、ハムレットには傷害罪が成立するに過ぎないと考えられます。

結局のところ・・・

 これまで長々と検討してきましたが、結局のところ、被疑者は全員死亡していますので、書類送検後、全員不起訴になるでしょう。
 これを読んでも「ハムレット」がさっぱり分からなかったという方は、是非劇場でご覧になることをお勧めします。
 最後に、なぜ私が「ハムレット」を観たかというと、実は私の妹・内堀律子が出演していたからでした。まだまだ無名の役者ではありますが、引き続き兄として応援していきたいです。

付き添い看護費

こんにちは、弁護士の三宅です。

裁判における付き添い看護費

裁判において付き添い看護費争点になることがあります。
裁判所は、原則として、主治医が付き添いの必要性を認めて診断書を書いてくれている場合は、特段あらそいなく認めてくれます。また、意見書がなくとも、受傷部位と病院の看護体制によって、付き添いの必要性を「立証」できれば付き添い看護費を認めてくれます。
問題になるのは、家族の情愛に基づく看護の場合です。例えば、家族が事故に遭って集中治療室で治療を受けている最中は、心配で付き添うことがよくあると思いますが、あれは家族の情愛関係に基づく看護なので、付き添い看護費は認められません。裁判官はとても冷たいのです。

自賠責保険の判断の証拠としての価値

こんにちは、弁護士の三宅です。

等級認定の証拠価値

先日修習時代の同期とお酒を飲みました。現在、ある地方裁判所で裁判官としてがんばっている友人です。お酒を飲みながら、普段裁判で疑問に思っていることを聞きました。
それは、自賠責保険の等級についての判断がある場合に、相手の代理人がカルテ等を証拠として等級自体を否認する場合があるのですが、その場合の自賠責保険の等級認定の証拠価値です。

自賠責保険の判断を尊重

結論としては、裁判所は自賠責保険の判断を尊重して事実を認定する。しかし、自賠責保険が判断の前提としていた事実が証拠から認定できない場合は、裁判所は後遺障害等級を否定する。
結局は、不可逆的な後遺障害存するかどうか証明の問題となるというものです。というのは、自賠責保険の判断は、専門的知見に基づく判断であり、専門家判断の証拠価値は尊重されるからだそうです。なお、専門家判断の証拠価値は①判断の基礎とした資料②前提とした事実が正しいと言えるのか③判断の前提とした専門的知見は最新かつ正確か④論理性が検討されるそうです。

子どもの自転車事故

こんにちは、弁護士の西井です。

【Q】10歳の子どもが歩道で自転車事故を起こし、歩行者に怪我を負わせた場合、損害賠償はどのようになりますか?

お答えします

【A】損害は被害の大きさにもよりますが、被害者に重い後遺障害が残った場合等は多額の損害が認められることになります。実際に、数千万円以上の損害を認めた判決があります。
一例として、子どもが起こした自転車事故で約9500万円の損害を認めた判決(神戸地裁平成25年7月4日判決)があります。この判決は、事故当時11歳の子どもの責任能力を認めなかったのですが、親が子どもに対して自転車運転に関し十分な指導や注意をしていなかったことを理由に、親が損害賠償義務を負うと判断しました(民法714条1項)。
自転車は原則として歩道を通行できませんが、例外として、①道路標識や道路標示で指定された場合、②運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、 身体の不自由な方の場合、③車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合は通行できます。
このように、10歳の子どもは、自転車で歩道を通行できます。
しかし、歩道は歩行者優先であり、自転車が歩道を通行するときは、車道寄りの部分を徐行(すぐに止まれる速度で通行すること)しなければなりません。また、歩行者の通行を妨げるような場合は、一時停止しなければなりません。
親が子どもに対し、そのことを十分に指導しなかった場合、親が損害賠償義務を負う可能性があります。
そのような場合の保険として、個人賠償責任保険、自転車保険などがあります。
人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約として加入できますので、ご加入の保険会社に個人賠償責任保険の有無、自転車事故まで対応しているかを確認することをお薦めします。

高次脳機能障害①

こんにちは、弁護士の西井です。

高次脳機能障害とは?

交通事故などで脳が損傷されると、記憶能力の障害、集中力や考える力の障害、行動の異常、性格の変化、言葉の障害が生じることがあり、これらの障害を『高次脳機能障害』と言います。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の代表的な症状として、認知障害と社会的行動障害があります。
認知障害は、理解したり考えたりする能力などの障害です。社会的行動障害は、行動の障害です。

認知障害とは?

認知障害には、①記憶障害、②注意障害、③遂行機能障害、④病識欠落、⑤半側空間無視、⑥失語、⑦失行、⑧失認などがあります。

①記憶障害

記憶障害には、事故以前の記憶は残っているが、新しいことを記憶しにくい短期記憶障害があります。たとえば、すぐに忘れてしまう、道順がわかなくなる、同じことを何度も質問するなどの症状があります。

②注意障害

注意障害は、注意力や集中力が続かないなどの特徴があります。たとえば、集中できず落ち着かない、物をなくすことが多いなどの症状があります。

③遂行障害

遂行機能障害は、目的を定めたり、その目的を実現させるための段取りを立てたりすることができないほか、段取りを実行できないなどの特徴があります。たとえば、見通しを立てられない、計画を立てて物事を進めることができない、効率よく物事を進められない、すぐに諦めてしまうなどの症状があります。

④病識欠落

病識欠落は、自分の障害を認識することが難しいなどの特徴があります。

⑤半側空間無視

半側空間無視とは、左または右の半側に気付かない状態のことで、左側の半側空間無視が多くみられます。たとえば、左側の食べ物を残す、左側の人や物にぶつかるなどの症状があります。

⑥失語

失語とは、言語の障害です。たとえば、話しかけられても答えられない、間違った言葉が出る、話し方が遅い、発音が不明瞭などの症状があります。

⑦失行

失行とは、明らかな麻痺はないのに、道具が上手に使えなかったり、間違った使い方をしたりするなどの特徴があります。たとえば、今まで使っていた道具の使い方がわからない、着替えの時に上着・ズボン・前後・左右の区別ができないなどの症状があります。

⑧失認

失認とは、視覚、聴覚、触覚などの知覚機能において、対象を把握できない障害であり、視覚失認、聴覚失認などがあります。視覚失認は、目の前に物があっても探し出せない、図形がわからないなどの症状があります。聴覚失認は、音は聞こえるが何の音かわからない、声は聞こえるが意味がわからないなどの症状があります。

社会的行動障害とは?

社会的行動障害には、①依存性・退行、②感情コントロール低下、③欲求コントロール低下、④対人技能拙劣、⑤固執性、⑥意欲・発動性の低下、⑦易疲労性、⑧反社会的行動などがあります。

①依存性・退行

依存性・退行は、子どもっぽくなったり、すぐに家族を頼るようになるというような特徴があります。

②感情コントロール低下

感情コントロール低下は、「怒り」や「笑い」などの感情のコントロールが難しいという特徴があります。
たとえば、すぐにキレる、すぐに暴言を吐く、すぐに乱暴するなどの易怒性があり、注意を受けている時や悲しい場面での笑ってしまうなどがあります。

③欲求コントロール低下

欲求コントロール低下は、欲しいと思うと我慢できないという特徴があり、たとえば、お菓子は1袋全部食べてしまったり、お金も手元にあるだけ使ってしまうというように自制ができない症状があります。

④対人技能拙劣

対人技能拙劣は、他人と上手く付き合えず、日常生活に問題が生じる状態です。
たとえば、相手の気持ちを読めない、自分の意見ばかり言い張るなどのほか、人に強く言われると断れないなどの症状があります。

⑤固執性

固執性は、どうでもいいささいなことにこだわる、物事にこだわって次のことができない、一度決めたことを状況に合わせて変更できずにやり続ける、途中で変更されると混乱するなどの症状があります。

⑥意欲・発動性の低下

意欲・発動性の低下は、やる気がでない、ボーっとして自分から何かしようと行動を起こさない、促されないとやっていたこともやめてしまうなどの症状があります。

⑦易疲労性

易疲労性は、脳神経が疲れやすいことを言い、すぐに疲れる、朝起きられない、起きていても眠い、ぼーっとしている、姿勢を保てないなどの症状があります。

⑧反社会的行動

反社会的行動は、社会的倫理を逸脱するような行動を起こすことであり、たとえば、盗み、暴力、性的行動などがあります。

高次脳機能障害の後遺障害等級は?

自賠法施行令別表一第1級1号、第2級1号、自賠法施行令別表二第3級3号、第5級2号、第7級4号、第9級10号があり、後遺障害の程度に応じて等級が認定されます。

高次脳機能障害の申請に必要な書類は?

まず、高次脳機能障害として審査されるためには、頭部外傷後の意識障害、初診時における頭部外傷の診断、頭部外傷の画像所見が重要になります。
そして、高次脳機能障害の程度を明らかにするために、病院で神経心理学的検査を受ける必要があります。また、事故前後における日常生活の変化も主張する必要があります。
そこで、高次脳機能障害の申請においては、後遺障害診断書のみならず、①頭部外傷後の意識障害についての所見、②神経系統の障害に関する医学的意見及び神経心理学的検査の結果、③日常生活状況報告を提出する必要があります。

統計でみる自動車保険

こんにちは、弁護士の北村です。

無保険者の事故

弁護士の仕事をしていて最も難しいと感じること。
それは「お金をもっていない人にお金を払わせること」だと思います。
やや乱暴な言い方ですが。

交通事故でも同じです。
無保険車事故(=自動車保険に加入していない車両との事故)で加害者から賠償金を引き出すことは大変です。

そんな無保険車事故ですが、出くわすことはそれほど珍しいことではありません。
弁護士としての「皮膚感覚」として30%くらいはいるんじゃなかと感じます。

任意自動車保険普及率

そこで探しました。統計を。
またもや思いのほかすぐに見つかりました。

いつもお世話になっております損害保険料率算出機構さんのホームページの「ディスクロージャー資料」中「自動車保険の概況」に「任意自動車保険 都道府県別普及率表(2016年3月末」」なる資料が掲載されています。
(詳細はhttp://www.giroj.or.jp/disclosure/gaikyo/j_2016.pdf/をどうぞ)

この資料では対人賠償・対物賠償・搭乗者傷害・人身傷害・車両の普及率が都道府県別に示されています。

対人賠償・対物賠償

もっとも基本となる対人賠償・対物賠償から見てみます。
対人賠償・対物賠償の普及率が最も高いのは大阪(!?)で、対人賠償が82.4%、対物賠償が82.6%とともに80%以上の車両に対人・対物賠償が付保されているとのことです。
(大阪在住の方には失礼ですが)何だか意外な結果です。
逆に最も普及率が低いのが沖縄で対人賠償・対物賠償ともに53.5%と、2台に1台が無保険車状態です。大丈夫なんですかね。

搭乗者傷害

搭乗者傷害についても普及率が最も高いのが大阪で35.2%です。
対人賠償・対物賠償普及率が全国最下位だった沖縄ですが、搭乗者傷害については32.5%で全国7位です。理由がよくわかりません。

人身傷害・車両保険

あると安心の人身傷害・車両保険については、愛知県が人身傷害75.9%、車両保険57.3%とともに全国1位という結果に。愛知県は対人賠償・対物賠償も81.5%と高い普及率で、「もしも」に備える意識の高い県民性なのでしょうか。

もしものために

自動車保険の保険料は事故がなければただの「毎月の固定費」以外の何者でもありません。通帳の「○○ホケン」との記載を毎月苦々しく見ている方もおられるでしょう。

ただ、交通事故の場合、起きてしまったときの経済的負担はすさまじく大きいです。賠償金が1億円を超えるなんてことも決して珍しくありません。

そのようなときになって後悔しないためにも、対人賠償・対物賠償だけでなく、人身傷害や車両保険も付保しておくことを強く、強くおすすめします。

私ですか?
弁護士費用特約までフルパッケージで付保してます。こんにちは、弁護士の北村です。
弁護士の仕事をしていて最も難しいと感じること。
それは「お金をもっていない人にお金を払わせること」だと思います。
やや乱暴な言い方ですが。

交通事故でも同じです。
無保険車事故(=自動車保険に加入していない車両との事故)で加害者から賠償金を引き出すことは大変です。

そんな無保険車事故ですが、出くわすことはそれほど珍しいことではありません。
弁護士としての「皮膚感覚」として30%くらいはいるんじゃなかと感じます。

そこで探しました。統計を。
またもや思いのほかすぐに見つかりました。

いつもお世話になっております損害保険料率算出機構さんのホームページの「ディスクロージャー資料」中「自動車保険の概況」に「任意自動車保険 都道府県別普及率表(2016年3月末」」なる資料が掲載されています。
(詳細はhttp://www.giroj.or.jp/disclosure/gaikyo/j_2016.pdf/をどうぞ)

この資料では対人賠償・対物賠償・搭乗者傷害・人身傷害・車両の普及率が都道府県別に示されています。

もっとも基本となる対人賠償・対物賠償から見てみます。
対人賠償・対物賠償の普及率が最も高いのは大阪(!?)で、対人賠償が82.4%、対物賠償が82.6%とともに80%以上の車両に対人・対物賠償が付保されているとのことです。
(大阪在住の方には失礼ですが)何だか意外な結果です。
逆に最も普及率が低いのが沖縄で対人賠償・対物賠償ともに53.5%と、2台に1台が無保険車状態です。大丈夫なんですかね。

搭乗者傷害についても普及率が最も高いのが大阪で35.2%です。
対人賠償・対物賠償普及率が全国最下位だった沖縄ですが、搭乗者傷害については32.5%で全国7位です。理由がよくわかりません。

あると安心の人身傷害・車両保険については、愛知県が人身傷害75.9%、車両保険57.3%とともに全国1位という結果に。愛知県は対人賠償・対物賠償も81.5%と高い普及率で、「もしも」に備える意識の高い県民性なのでしょうか。

自動車保険の保険料は事故がなければただの「毎月の固定費」以外の何者でもありません。通帳の「○○ホケン」との記載を毎月苦々しく見ている方もおられるでしょう。

ただ、交通事故の場合、起きてしまったときの経済的負担はすさまじく大きいです。賠償金が1億円を超えるなんてことも決して珍しくありません。

そのようなときになって後悔しないためにも、対人賠償・対物賠償だけでなく、人身傷害や車両保険も付保しておくことを強く、強くおすすめします。

私ですか?
弁護士費用特約までフルパッケージで付保してます。

統計でみる後遺障害等級

こんにちは、弁護士の北村です。

後遺障害等級認定が重要!・・・?

最近「交通事故」を前面に押し出している法律事務所のホームページをよく見かけるようになりましたね。
この手のホームページには(弊事務所もですが)「後遺障害等級認定が重要!」みたいなことが謳われています。自賠責保険の後遺障害等級の概要についての説明があって、最後には「後遺障害でお困りの方はこちらの相談フォームからご相談を」みたいなのが典型例ですね。
一応、敵情視察がてら、他の法律事務所がどのようなことをホームページに記載しているのかはチェックするようにしているんですが、中には思わず「弁護士に依頼さえすれば後遺障害等級が認定される」かのような錯覚に陥ってしまいそうなものも見受けられます。
でも後遺障害等級って実際のところ、どれくらいの人が、何級の認定を受けているのかって意外と知られていなかったりします。

後遺障害等級を獲得している人ってどれくらいいるのか

そこで探し出しましたよ。統計を。
大げさに言いましたが思いのほかすぐに見つかりました。

ご存じ「損害保険料率算出機構」では「ディスクロージャー資料」として「自動車保険の概況」をホームページ上の掲載しています。現在の最新データは平成26年度(平成25年度データ)のようです(詳細はhttp://www.giroj.or.jp/disclosure/o_gaikyo/をどうぞ)。

え!5%?

「第1部 平成25年度の事業概況」中の「Ⅰ.自賠責保険」では自賠責保険にまつわる様々なデータが掲載されていて、「第24図 後遺障害支払件数の推移」というところで自賠責保険の傷害支払件数・後遺障害支払件数が報告されています。
この図によると、平成25年の傷害支払件数は118万5334件、うち後遺障害支払件数は5万9422件で、傷害支払件数における割合は何と5%(!)にとどまります。
まあ後遺障害部分の請求件数がわからないので何ともいえない数字ではありますが、交通事故に携わる弁護士としての「皮膚感覚」とは結構かけ離れた数字だったので少し驚きです。
ちなみに平成21年度は5.6%、平成22年度は5.4%、平成23年度は5.4%、平成24年度は5.2%と、ここ5年は5%台で推移しているとのことで、平成25年がとりたてて後遺障害支払件数が少なかったという訳でもなさそうです。

後遺障害等級の構成比

後遺障害等級の構成比は「第25図 後遺障害等級別件数構成比」にて報告されていますが、構成比が大きい順に並べると上位5つは①14級(58.91%)、②12級(17.57%)、③11級(6.72%)、④ 9級(3.36%)、⑤10級(3.28%)となります。
最も多いのは14級で、これはまあ「予想通り」といったところですが、その割合は実に58.91%にも上ります。後遺障害等級が認定される方の実に6割は14級ということになりますね。

事故に遭ったら、後遺障害等級が取れるか検討が必要です

以上、後遺障害等級を統計的に見てみましたが、いかがでしたか?
交通事故に携わる弁護士としては、傷害支払件数における後遺障害支払件数の割合が5%にとどまっているという数字はなかなかに衝撃でした。
「残りの95%の中には、本来であれば後遺障害等級が認定されて然るべき方がどれくらいいらっしゃったのだろう」などと思いを馳せてしまいます。
そのような方がいなくなるよう尽力しようと改めて思った今日この頃です。

eスポーツ

こんにちは、弁護士の鳥井です。

ゲームがスポーツに?

ゲームをする時、昔は一日1時間までと両親に良く怒られたものですが、
最近は一口にゲームといっても、昔からあるRPGのようなものから、脳トレのような勉強を取り入れたゲームまで様々あります。
それにともなって、ゲームが少しずつですが社会地位を得てきたように感じます。

特に、その傾向は海外では顕著で、
世界中の各地で毎週のように大会が開かれ、ネット上で実況付きで観戦もでき、最近では「eスポーツ」などと呼ばれ、プロスポーツとして知られています。
「eスポーツ」は、すでにビジネスとして成立していて、賞金総額が億単位を超えるものもあり、下手をするとその辺のスポーツ興行よりも経済効果があるようにも思います。

まだまだ法整備が追いついていない現状も・・・

さて、そんな華やかな一面もありますが、「eスポーツ」は最近のコンテンツなため、法整備が追いついていないところもあるようです。
例えば、プレーヤーは所属するチームによって、社員だったり個人事業主だったりするなど、プレーヤーとしての法的地位は非常に流動的です。
他にも、反則行為した場合に処罰を下すにも、どういう処罰が妥当なのだろうかは大会運営者に委ねられていることが多いようです。

いずれにせよ、ゲーマー視点からすると、賞金も大事ですが、
画面に映るすごいプレーを観戦する機会がもっと増えてくれることを願うばかりです。

ルールはわかりやすく

こんにちは、弁護士の鳥井です。

all way stop

とある雑誌に載っていた話なのですが、日本では見かけない珍しいアメリカの交通ルールに「all way stop」というものがあります。
これは、信号機のない交差点で車が一時停止した場合、一時停止した順に交差点に進行して良いというルールです。
(同じタイミングの場合は、右側が優先するようです)
 
このルールの利点としては、とてもわかりやすく、かつフェアなところです。
いろいろな人種の人が生活しているので、ルールを誰にでも感覚的にわかりやすくする。
こういうところも、アメリカの車社会を裏から支えているのかもしれません。
 

交通ルールはわかりやすく

ところで、日本で免許取得する際、学科試験を受けたりしますが、
中には意地悪なヒッカケ問題があったりして、何のための試験なのか、疑問に思うこともあります。
それでいて、法律はわかりにくい。
 
規則は厳格にすればするほど、わかりにくく、かつ納得できなくなることが多いです。
もちろん、社会の変化に応じて規則を変えることは必要ですが、
誰でもわかるようなルールを増やすほうが結果的に交通安全に資するのかなと思います。

後遺障害別等級表(第6級6号~8号)

第6級6号 一上肢の 3 大関節中の 2 関節の用を廃したもの

従来、関節の用廃とは、以下の 3 つが認定の要件でした。

①関節の強直又はこれに近い状態にあるもの

②神経麻痺等により自動運動不能又はこれに近い状態にあるもの

③人工骨頭又は人工関節を挿入したもの

しかし、

③の人工骨頭、人工関節置換では、無条件に用廃ではなく、以下の条件設定がなされました。

 

(上下肢の人工骨頭・人工関節置換術がなされた場合)

人工骨頭又は人工関節を挿入置換し、かつ、当該関節の可動域角度が健側の 2 分の 1 以下に制限されたもの

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第8級6号に認定

 

人工骨頭又は人工関節を挿入置換したもの

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第10級10号に認定

理由として・・・

従来は、人工骨頭や人工関節に置換されたものは無条件で第8級でした。昭和50年当時は、人工関節材質の材料がポリエチレンであり、短期間での摩擦や、置換後の骨との緩みが問題とされていました。

しかし、近年、人工関節の材質は超高分子量ポリエチレン、骨頭についてはセラミックが普及し、耐久性が 10 ~ 20 年と報告されており、関節の用を廃するものについては、見直しがされています。

 

第6級7号 一下肢の 3 大関節中の 2 関節の用を廃したもの

①関節の完全強直又はこれに近い状態にあるもの

②神経麻痺等により自動運動不能又はこれに近い状態にあるもの

③人工骨頭又は人工関節を挿入置換したもの

③ は、上肢に同じく、等級認定基準が改正されており、除外となります。

1下肢の2関節の用廃は第6級7号、1 関節では、第8級7号が認定されます。

 

第6級8号 一手の5の手指または親指を含み4の手指を失ったもの

これについては、「第3級5号」または、「第4級6号」を参照してください。

後遺障害別等級表(第6級5号)

脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

平成16年10月15日 以降に発生した事故日から、等級認定基準が改訂されました。

脊柱は、 7 つの頚椎、 12 の胸椎、 5 つの腰椎と仙骨、尾骨の 26 個の椎骨で構成されており、体位の保持と脊髄の保護の役目を果たしています。

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従来は、頚椎と胸腰椎に第6 級 5 号が認定されていましたが、改定後、脊椎の第6 級 5 号は、頚椎・胸腰椎の両方に脱臼・圧迫骨折、固定術がなされていることが要件となります。

第6 級 5 号は強直(固まっている状態)または 10 %以下の制限となります。

【脊柱、頚部および胸腰部の認定等級表】

脊柱・頚部の場合

主要運動

参考運動

前屈

後屈

回旋

合計

側屈

正常値

60°

50°

左右70°

250°

左右50°

第6級5号

(正常値の10%以下)

10°※

10°

25°

 

第8級2号

(正常値の50%以下)

30°

25°

35°

90°

 

第11級7号

角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定されます。

※この場合の 10 %とは、 5 °単位で切り上げた角度になります。

頚部の前屈は 60 °の10 %は 6 °ですが 5 °単位で切り上げるため 10 °となります。

脊柱・胸腹部の場合

主要運動

参考運動

前屈

後屈

合計

回旋

側旋

正常値

45°

30°

70°

40°

50°

第6級5号

10°

 

 

第8級2号

25°

15°

40°

20°

25°

第11級7号

角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定されます。

尚、関節の角度が 10 °以下に制限されている場合は、全て強直に近い状態に該当します。

さらに計測法も変更されています。

従来は、屈曲と伸展、左右屈を主要運動としていましたが、屈曲と伸展、左右回旋を主要運動とすることに変更されたのです。

日常生活では、左右屈制限よりも、後方を確認する左右回旋が明らかに重要ですから、

これは当然の改正と考えます。

主要運動とは、日常の動作で最も重要なものです。

後遺障害等級は原則として主要運動の計測値の合計で判断されています。

脊柱の運動・変形・荷重による後遺障害(第6級5号認定基準)

(運動障害)

頚部及び胸腰部のそれぞれに脊椎圧迫骨折もしくは脊椎完全脱臼があること、又は脊椎固定術により、頚部及び胸腰部が共に強直又はこれに近い状態となった場合と項背腰部軟部組織の明かな器質的変化のため、頚部及び胸腰部が共に強直又はこれに近い状態となった場合

(荷重障害)

脊柱圧迫骨折・脱臼又は項背腰部軟部組織の明かな器質的変化のために、頚部及び腰部の両方の保持に困難があるため、常時、硬性コルセットを必要とするもの

(変形障害)

① 2 個以上の椎体の前方椎体高が当該後方椎体高と比べて減少し、その減少した合計が被災した 2 椎体の後方椎体高の 50 %以上になっていること、

②コブ法による側彎度が 50 °以上であるとともに、 1 個以上の椎体の前方椎体高が当該後方椎体高と比べ減少し、かつ、その減少した合計が被災した 1 椎体の 50 %以上になっていること

※コブ法とは、脊柱の側彎角度の計測法の 1 つで、上下の側彎カーブの変曲点で、

頚側は椎体の上縁、尾側は、下縁で線を引き、角度を求めます。

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従来は、頚部と胸腰部に別個に第6 、8級が認められており、脊柱の可動域が、2 分の 1 以下であれば、第6 級、 2 分の 1 + 10 °で第8級が認定されていたのです。

しかし、これが廃止され、頚部+胸腰部の双方の可動域が強直した場合に限って第6級、頚部もしくは胸腰部単独では、強直、脊柱の可動域が 2 分の 1 以下で第8級2号を認めると改正されたのです。

端的に言えば、第6級5号が認定されることは極めて稀です。

今後、脊柱の圧迫骨折等は、第8級2号、第11級7号の選択となります。

後遺障害別等級表(第6級1号~4号)

第6級1号 両眼の視力が 0.1 以下になったもの

視力については、第1級1号及び第4級に掲載しておりますので、そちらをご確認ください。

第6級2号 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼の機能に著しい障害を残すものとは、お粥やうどん、軟らかい魚肉又はこれに準ずる程度の飲食物でなければ受け付けない状況である場合、第6級 2 号が認定されています。

そしゃく状況報告表(www.jiko110.com/topics/syoshiki/sonota/6-01.pdf)の書式で立証します。

言語の機能に著しい障害を残すものは、第4 級 2 号を参照して下さい。

第6級3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが出来ない程度になったもの

聴力も視力と同じで、両耳と片耳に分けて後遺障害等級を認定しています。

耳に接しなければ大声を解することが出来ないとは、 80dB 以上、又は 50dB ~ 80dB 未満で、かつ、最高明瞭度が 30 %以下の状況である場合、第6 級 3 号が認定されています。

第6級4号 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が 40 ㎝以上の距離では普通の話声を解することが出来ない程度になったもの

1)耳の聴力を全く失い、他耳は 40cm 以上では普通の話声を解することが出来ないとは、

一方の耳が 90dB 以上、かつ、もう一方の耳が 70dB 以上の状況である場合、第6 級 4 号が認定されます。

後遺障害別等級表(第5級8号)

両足の足指の全部を失ったもの

各趾は母趾から順に第 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5 趾と呼びます。

第 1 趾の関節は趾先に近い方から IP 、 MP と言い、

その他の趾は趾先に近い方から DIP 、 PIP 、 MP と呼びます。

足趾を失ったものとは、第 1 趾については、 IP より先、その他の趾については、 PIP より先を失った状況です。

両足の足趾の全部を失えば第5 級 8 号、片足の足趾の全部を失えば第8 級 10 号が認定されています。

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後遺障害別等級表(第5級4号~7号)

第5級4号 一上肢を手関節以上で失ったもの

肘関節と手関節との間で上腕を切断したもの、手関節で、橈骨・尺骨と手根骨を離断したものは、第5 級 4 号が認定されます。

第5級5号 一下肢を足関節以上で失ったもの

膝関節と足関節との間、下腿部で切断したもの

足関節で下腿骨と距骨を離断したものは、第5 級 5 号が認定されます。

第5級6号 一上肢の用を全廃したもの

① 肩・肘・手関節の完全強直

② 健側に比して患側の運動可能領域が 10 %以内に制限され、手指の障害が加わるもの

③ 肩・肘・手関節の完全麻痺

④ 先に近い状態で手指の障害が加わるもの

これらは両上肢で 第1 級 4 号、片方の上肢で第5 級 6 号が認定されています。

第5級7号 一下肢の用を全廃したもの

① 股・膝・足関節の完全強直

② 健側に比して患側の運動可能領域が 10 %以内に制限され、足趾の障害が加わるもの

③ 股・膝・足関節の完全麻痺、及びこれに近い状態で足趾の障害が加わるもの

これらは両下肢で 第1 級 6 号、 片方の下肢で第 5 級 7 号が認定されます。

後遺障害別等級表(第5級3号)

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの

身体的能力の低下などのため、独力では一般平均人の 4 分の 1 程度の労働能力しか残されていないもの

1)人工肛門を造設していても、小腸または大腸の内容が漏出することにより、人工肛門の排泄口、ストマ(おなかに造設した人工肛門のこと)周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ(便を貯めるための袋)の装着が出来ないもの

2)小腸または大腸の皮膚瘻(皮膚瘻とは組織の不快部分に形成された膿瘍を原因として皮膚の表面に通じている穴、瘻孔のことです。)を残すもので、瘻孔から小腸または大腸の内容の全部または大部分が漏出するもで、パウチによる維持管理が困難なもの

3)非尿禁制型尿路変更術を行ったが、尿が漏出しストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッド等の装着が出来ないもの

腎臓で生成された尿は腎盂から尿管を経て膀胱に畜尿され、尿道を通じて体外に排尿されます。この経路を尿路といいます。

健常な膀胱の機能は、尿を失禁することなく安定して貯める畜尿機能と、尿意に基づいて自分の意思で残尿なく排出する排尿機能、この 2 つの機能が両立しなければなりません。

「非尿禁制型尿路変更術」とは、排泄口、ストマから絶えず流れ出る尿を袋(パウチ)で集尿する手術法です。

「禁制型尿リザボア」は、腸管を使用して体内に畜尿可能なパウチを作成、失禁防止弁を有する脚を介して腹壁にストマを形成する手術です。

特徴は、畜尿機能はあるも排尿機能はなく、ストマから自己道尿を必要とします。

しかし、ストマは小さくパウチの装着は不要です。

「これら以外の尿禁制型尿路変更術」とは、 S 状結腸に尿管を吻合し直腸に尿を畜尿します。肛門括約筋により尿禁制が保たれ、人工排泄口、ストマは必要なく、自分の意思で排尿、排便のコントロールが可能となります。

高次脳機能障害のボーダーラインは、働けるか否かのライン?

高次脳機能障害では、第1 ・ 2 ・ 3 ・ 5 ・ 7 ・9級の 6 段階からの選択となっています。

1 ・ 2 ・ 3 級では、労働能力喪失率(働けるか否か)は100 %(働けない)、常時介護、随時介護が必要な方が認められます。

5 級では、健常人の 4 分の 1 の労働能力と説明されていますが、喪失率は 79 %、裁判では、被害者の状況により、介護料が認められています。

これが 7 級となると、健常人の 2 分の 1 の労働能力であり、喪失率は 56 %です。

9 級では、服することが出来る労務が相当な程度に制限されたものと説明され、喪失率は 35 %と決められています。

仕事復帰が可能になる等級は?

それぞれの等級には、 5 級以上 3 級未満、 7 級以上 5 級未満、9 級以上 7 級未満のボーダーラインが引かれており、

1・ 2 ・3 級では労働能力喪失率は 100 %ですから、今後、就労は不可能であることを前提に、損害賠償が計算されています。

では 5 級はどうでしょうか? 4 分の 1 の労働能力で就労復帰が出来るのでしょうか?

現実の相談では、7 級以上の被害者は、現職復帰は出来ていません。

被害者のご家族は、この現実の重みをしっかりと認識して下さい。

主治医の作成した後遺障害診断書が理解出来ないままでいるけど、いいか。

神経系統の機能障害検査の結果を分析できない状態だけど、かまわないな。

日常生活状況報告、一体、何を書けばいいのかが分からないけど、なんとかなるか。

これでは、保険屋さんの思うつぼです。

取り組むべき姿勢を説明していますので、しっかり勉強して、ボーダーラインの上を掴み取りましょう。

後遺障害等級 第5 級1号・2号

 

第5級1号 一眼が失明し、他眼の視力が 0.1 以下になったもの

 

視力については、第1級~4級をご確認ください。

 

第5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 特に軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの

 

1)従来の脳損傷=低次脳機能障害では、神経系統の機能障害による身体的能力の低下又は

精神の低下等のため、独力では一般平均人の 4 分の 1 程度の労働能力しか残されていない場合、

他人の頻繁な指示がなくては労務の遂行が出来ない場合又は労務遂行の巧緻性や

持続力において平均人より著しく劣る場合が、これに該当すると説明されていました。

 

2)高次脳機能障害では、単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能であるが、新しい作業を学習出来なかったり、

環境が変わると作業を継続出来なくなったりする問題が生じることにより、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、

就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことが出来ないもの、単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能であるが、

新しい作業を学習出来なかったり、環境が変わると作業を継続出来なくなったりするなどの問題があり、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、

就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことが出来ないものを説明しています。

 

3)外傷性てんかんのため、十分な治療にもかかわらず、発作の頻度又は発作型の特徴などのため、

一般平均人の 4 分の 1 程度の労働能力しか残されていないもの、 そして、てんかんの特殊性からみて、

就労可能な職種が極度に制限されるものは 5 級 2 号が認定されています。

 

4)著しいめまい・失調・平衡機能障害のために、労働能力が極めて低下し、

一般平均人の 4 分の 1 程度しか残されていないものは、5 級 2 号が認定されています。

但し、ここで説明するめまい・失調・平衡機能障害は、頭部外傷を原因とするものに限定されています。

 

5)脊髄損傷では、麻痺その他の著しい脊髄症状のため、独力では、一般平均人の 4 分の 1 程度の労働能力しか残されていないものが 5 級 2 号の認定となります。

後遺障害別等級表(第4級4号~7号)

第4級4号 一上肢を肘関節以上で失ったもの

肩関節で、肩甲骨と上腕骨を離断したもの、肩関節と肘関節との間において上腕を切断したもの、

肘関節で、上腕骨と橈骨・尺骨を離断したものは、 1 上肢で第4 級 4 号が認定されています。

 

第4級5号 一下肢を膝関節以上で失ったもの

股関節で、寛骨と大腿骨を離断したもの、股関節と膝関節の間、大腿部において切断したもの、

膝関節で、大腿骨と下腿骨とを離断したものは、 1 下肢で第4 級 5 号が認定されています。

 

第4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの

手指の全部の用を廃したものとは、母指では、 IP(指節間関節)、その他の指にあっては、

PIP(近位指節間関節)より先の 2 分の 1 以上を失ったもの。

また母指では、IP ・ MP(母指の関節は指先に近い方から IP 、 MP と言います)、

その他の指では、 PIP ・ MP(その他の指は指先に近い方から、 DIP 、 PIP 、 MP と呼びます)

のいずれかに正常可動域の 2 分の 1 以下に運動が制限されたもののことです。

両手であれば第4 級 6 号が、片手であれば、第7 級 7 号が認定されています。

母指の関節は指先に近い方から IP ・ MP 、その他の指は指先に近い方から DIP ・ PIP ・ MP と呼びます。

DIP 関節の可動域が 2 分の 1 以下になっても用廃(用をなさない)とはなりません。

全く屈伸が出来ない状況で 第14 級 7 号、 2 分の 1 以上の指骨を失って第14 級 6 号が認定されるに過ぎません。

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第4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

リスフラン関節は、足関節と足趾の中間部に位置、両足をリスフラン関節以上で

失えば第4 級 7 号、片足であれば、第7 級 8 号が認定されています。

後遺障害別等級表(第4級3号)

第4級3号 両耳の聴力を全く失ったもの

耳には外耳・中耳・内耳の 3 つの部屋があり、外界の音は外耳より侵入し、鼓膜を振動させます。

鼓膜の振動は中耳を通り内耳の蝸牛内部に満たされているリンパ液に伝わり、ここで液体振動に変換します。

液体振動は、蝸牛奥部のラセン器官を刺激、刺激が内耳神経によって大脳の聴覚中枢に伝えられ、人は音を感じているのです。

内耳の後方にある三半規管と前庭は、身体の平衡機能を担当、それぞれが回転運動・直線運動に反応、反射的に全身の随意筋・不随意筋をコントロールして、

視覚・深部感覚・小脳の助けを得て、体の運動や頭の位置を正常に保持しています。

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両耳の聴力を全く失ったものとは、平均純音聴力レベルが 90dB 以上、又は 80dB 以上で、

かつ、最高明瞭度が 30 %以下のものであり、 第4 級 3 号が認定されています。

 

聴力障害を立証する検査方法

検査の内容検査機器
純音聴力検査オージオメーター
語音聴力検査スピーチオージオメーター
ABR =聴性脳幹反応ABR
SR =あぶみ骨筋反射インピーダンスオージオメトリー

オージオメーター(スピーチオージオメーター)

 

 sr (インピーダンスオージオメトリー)

後遺障害別等級表(第4級2号)

第4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼の機能に著しい障害を残すものとは、お粥、うどん、軟らかい魚肉又はこれに準ずる程度の飲食物でなければ受け付けない状況で、単独では 第6 級 2 号が認定されています。

語音は、「あいうえお」の母音と、それ以外の子音とに区別され、子音は更に、口唇音・歯舌音・口蓋音・咽頭音の 4 種類に区別されます。

4 種類の子音とは、口唇音=ま、ぱ、ば、わ行音、ふ、歯舌音=な、た、だ、ら、さ、

ざ行音、しゅ、じゅ、し、口蓋音=か、が、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん、咽頭音=は行音のことです。

言語の機能に著しい障害を残すとは、 4 種の語音の内、 2 種が発音不能になった状況、

または綴音機能に障害があり、言語のみでは意思を疎通させることが出来ない状況であり、

これも単独では 第6 級 2 号が認定されます。

後遺障害別等級表(第4級)視力に関するもの

今回は視力に関する等級について、述べたいと思います。

第1 級 1 号

両眼が失明したもの

視力の測定は万国式試視力表によることとされています。

失明とは眼球を摘出したもの、明暗を判断出来ないもの、

ようやく明暗を区別出来る程度のものを説明しています。

第2 級 1 号

1 眼が失明し、他眼の視力が 0.02 以下になったもの

この場合の視力とは矯正視力のことを説明しています。

平成14年4月 からコンタクトレンズによる矯正も認められるようになりました。

第2 級 2 号

両眼の視力が 0.02 以下になったもの

第3 級 1 号

1 眼が失明し、他眼の視力が 0.06 以下になったもの

第4 級 1 号

両眼の視力が 0.06 以下になったもの

第5 級 1 号

1 眼が失明し、他眼の視力が 0.1 以下になったもの

第6 級 1 号

両眼の視力が 0.1 以下になったもの

第7 級 1 号

1 眼が失明し、他眼の視力が 0.6 以下になったもの

第8 級 1 号

1 眼が失明し、又は 1 眼の視力が 0.02 以下になったもの

第9 級 1 号

両眼の視力が 0.6 以下になったもの

第9 級 2 号

1 眼の視力が 0.06 以下になったもの

第10 級 1 号

1 眼の視力が 0.1 以下になったもの

第13 級 1 号

1 眼の視力が 0.6 以下になったもの

後遺障害別等級表(第3級4、5号)

第3級4号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することが出来ないもの

生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、高度の障害のため、終身にわたり、労務に就くことが出来ないもので、

自宅周囲の歩行が可能又は差し支えないものも含まれます。

後遺障害別等級表Ⅰ(介護を要する後遺障害)の第 1 級 2 号を参照してください。

第3級5号 両手の手指の全部を失ったもの

指を失ったとは、母指にあっては、 IP =指節間関節

その他の指では、 PIP =近位指節間関節以上を失ったことを言います。

母指の関節は指先に近い方から IP 、 MP と言い、その他の指は指先に近い方から、 DIP 、 PIP 、 MP と呼びます。

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