30代・男性
事故態様:自転車が急に進路を変えて、幹線道路を斜め横断しようとして、後続のバイクが転倒し、バイク運転者、大きな可動域制限が残った案件
受傷部位:鎖骨骨折

 相手が、自転車なので、自賠責保険による後遺障害認定を受けることができません。保険会社のアドバイスに従って、ご本人は先に労災申請しました。労災手続きでは、実際、労災医師による現認手続きします。その際、労災医師から、「主治医の書いた後遺障害診断書が無茶苦茶でした。左右腕全く健常とあるが、右腕90度も上がらない。明らかにおかしいので、再度、書き直してもらって再提出して下さい。」とアドバイスがありました。
ご本人が、主治医にその旨説明すると、再測定すること無く、労災医師の測定値をそのまま労災用後遺障害診断書に記入して、ご本人、労災認定可動域制限で10級認定。
その後、自転車保険会社に通常の交通事故後遺障害診断書に記載を医師にお願いして、本人はそのまま提出されました。なんと、その記載された内容は、以前のあの間違った数値であることが判明。これを受け取った保険会社としては、非該当を前提の示談金を提示せざるを得ません。本人びっくりして、当職に相談に来られました。
保険会社担当者と話したところ、保険会社も困っている様子。労災用後遺障害診断書と交通事故後遺障害診断書の診察日の日付、僅か、一日違いなのに、全く数値が違う。主治医に問題あることは間違いないと思われるが、このままでは、会社上処理できないとのこと。
早速、本人に事情を話し、医師に後遺障害診断書の誤記訂正を求めるようアドバイスしました。しかしながら、医師は、患者の面会を拒否。仕方なく、当職が医師と面談するも、「ウチは、交通事故事件は、お断りとさせてもらっている。労災というから治療を受け入れた話。後遺障害診断書の明らかな矛盾については、説明する必要無し 再測定もする気は無い」ととりつく島もない対応。
これには困りました。保険会社も当方も、想定外のところで、暗礁に乗り上げてしまったという感じでした。一切の接触を拒否した医師をどう引きずり出すか…。非該当と10級大きな違いです。裁判をして、医師を証人申請し、裁判に引っ張り込むしかないのか…。裁判となると保険会社も代理人立てて、本心そうでなくても、後遺障害を争わなくてはなりません。過失割合大きい案件です。そして、何よりも、労災で10級となり、大きな金額を既に受領していますので、現在の、最高裁判例では、全額、既払い扱いとなります(相手は、全額、労災に支払う必要がある)。裁判するのは、コスト的にリスクが高すぎ、ご本人裁判望んでいません。
保険会社担当者と私、困りに困って、本来、相手方なのに、いつしか運命共同体的な雰囲気が形成されてきました。
もともと、お仕事の収入全く減っていない方で、裁判になれば、逸失利益減額の可能性のある方でした。また、過失割合、バイクと自転車ですので、基本割合となれば、バイクの方が加害者となってしまう案件です。結局、本人と相談の結果、当方、10級ではなく、12級レベルに落としての交渉を持ちかけました。相手保険会社担当者も、この対応を評価し、積極的に社内根回しし、結局、420万円、労災からの給付分250万円と合わせて670万円を得ることができ、ご本人様大満足でした。相手保険会社さんとの後日談、非該当案件をここまで持って行くの社内的に相当苦労されたとのことでした。こうして、無駄な裁判を避けることができました。
(2018.8.27 文責:黒田悦男)