60代男性
職業:塗装業

依頼者は、夫婦で生活している、塗装業の方でした。
個人事業主(要するに一人親方)として、自身で確定申告を行っている方でしたが、節税の結果、課税証明書上の所得はかなり低く、一月の夫婦の生活が成り立つとは到底思えない金額でした。
そこで、逸失利益の証明のため、月収を証明する給与明細を、実質的な勤務先となっている方に発行して頂きました。
しかしながら、給与明細の作られた経緯が経緯ですので、中々相手方保険会社を説得する切り札にはならず、相対交渉での決着は難しい、という状況でした。
このような状況でしたので、私は、すぐに示談あっせんの申立を行い、収入金額を直接証明するのではなく、支出金額を示すことにしました。
支出金額がわかれば、他に収入源が無い限り、仕事による収入額であるとの推定ができます。
それでも、概算にはなってしまうので、直接収入金額を証明できる場合に比べると、どうしても控えめな算定を行うことになってしまいます。
とはいえ、年間所得が課税証明書(2ケタ万円でした)どおりだというのは、あまりに酷です。
そのため、妥当な年間収入額を割り出すべく、自賠責の休業損害基準を持ち出したり、確定申告書での売上額を使ったり、現実の収入額を証明するため、あらゆる手を尽くしました。
その結果、訴訟に移行することなく、示談あっせんの段階で、妥当な金額の休業損害及び逸失利益を頂くことができました。