40代男性
事故態様:車道側から前方走行中の自転車を追い抜こうとしたところ、前方歩道を走行中の女性運転の自転車が車道に急に出てきて衝突。
受傷部位:頭部に大怪我を負いました。脳挫傷により、右1/4が半盲、嗅覚喪失、社会行動力も大きく減退しました。

 交通事故でも、自動車との事故ではありませんので、自賠責による後遺障害の認定は期待できません。幸い、労災でしたので、先ず、労災での後遺障害高等級を獲得し、相手保険会社の審査にプレッシャーをかける作戦で臨みました。
 苦労したのは、医師です。全く、患者の後遺障害に興味をもちません。よくいるんです。手術しか興味ない医師…。必要な検査も全くしてもらえず、困り果てました。幸い、婦長さんが、この状況を見かね、検査の手配に協力して頂きました。婦長さんも、陰できっぱり言いました。「ウチの先生ダメです…すいません」
  事故から1年後、労災にて高次脳機能障害7級の3を獲得。それを相手保険会社に提出し、保険会社の審理に回しました。ただ、それからの手続きが長く、いろいろ紆余曲折がありましたが、事故から2年経過した時点で示談が成立しました。後遺障害の難易度もさることながら、過失の点で苦労しました。自転車追い抜こうとしていたのは、こちらです。相手は、歩道上の障害物(自動車の違法駐車)の為、歩道から道路に出てきたママチャリ。こちらは、車道をハイスピードで走行するロードバイク型の高速走行可能な自転車。下手するとこちらの方が多くの過失が認められても仕方ない事案です。色々な判例を示して、30%の過失相殺で済ませることができました。3600万円の賠償額を獲得することができ、かなり給料は下がりましたが、幸いなことに、障害に理解のある新しい就職先も見つかり、なんとか生活の目途が立ちましたと奥様から感謝の言葉を頂きました。