個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、どちらも大まかに言うと多額の借金がある個人が返済が困難な状況にあるが、将来継続的に収入が見込まれる場合に、その借金の一部を一定の額、一定の期間で支払う(この計画を再生計画と言う)ことによって、破産することなく残りの返済の免除を受けられるという手続きです。

 また、個人再生では住宅ローン特則というものを利用すれば、住宅を手放さずに(住宅ローンの支払いは続けたまま)手続きが出来る場合もあるので、住宅を手放したくない場合には個人再生の利用を検討されることをおすすめします。

 小規模個人再生と給与所得者等再生にはそれぞ下表の様な利用要件があります。

 原則として今後継続的に収入が入ってくるのであればどちらでも利用可能(パート・アルバイトでも場合によっては可)ですが、給与所得者等再生を利用できる人は小規模個人再生も利用可能であり、大抵の場合、小規模個人再生よりも給与所得者等再生の方が支払わなければならない金額が多くなる為、小規模個人再生を選択するケースが多い様です。

この点に関しては詳しくは弁護士等にご相談下さい。

小規模個人再生利用要件

継続的、又反復して収入を得る見込みがあり、住宅ローンなど抵当権で担保されているものを除く借金総額が5,000万円以下の個人(例:サラリーマン、事業者、農業従事者など)

債権者の消極的同意が必要
※消極的同意とは再生計画案に同意しない債権者が全体の半数以下で、かつその同意しない債権者に対する借金総額が、全体の2分の1以下であることを言います。

再生計画により支払う額が最低弁済基準額(*1)と清算価値保障の原則(*3)を満たすこと

給与所得者等再生利用要件

小規模個人再生の利用要件に該当する人の内、給与に類する定期的な収入を得る見込みがあり、その額の変動の幅が小さいと見込まれる人(例:サラリーマン、年金生活者など)

一定の利用制限あり(債権者の同意は不要)
※以下の要件にひとつでも当てはまる場合は給与所得者等再生を利用できません
①以前に給与所得者等再生を利用してから10年が経過していない場合
②以前に破産をしてから10年が経過していない場合

再生計画により支払う額が可処分所得要件(*2)を満たすこと

(*1)最低弁済基準額とは→
①借金総額の5分の1(※借金総額が3,000万円以上の場合は10分の1)
②100万円 のいずれか多い方の額のこと。
(*2)可処分所得要件とは→
1年間あたりの手取り収入から税金や社会保険料、及び最低生活費(最低限度の生活を維持するのに必要な費用)を控除した額の2倍以上であること。
最低生活費は居住地域・家族構成を考慮して政令に基づき算出される。
(*3)清算価値保障の原則とは→
もし自己破産をしたら換価処分され債権者に配当される全財産、(現金・預貯金・不動産・自動車・保険の解約返戻金・将来受け取る見込みの退職金の一部など)の合計額が支払金額を下回らないこと。
 さらに個人再生を利用するには、小規模個人再生・給与所得者等再生ともにその再生計画(借金総額の一部を一定の額、一定の期間で支払う計画)が裁判所により認可される必要があり、この認可を得るには以下の様な要件を満たす必要があります。

再生認可要件

  • 各債権者に対して平等であること
    (※ただし、不利益を受ける債権者の同意がある場合は除く)
  • 原則として3年で支払いを完了すること
    (※やむを得ない事情がある場合、裁判所の判断により5年)
  • 3ヶ月に1度以上の支払いをする分割払いであること
    (※毎月収入がある場合は、毎月支払いをすることが望ましい)
  • 支払金額が最低弁済基準額(*1)を上回ること
  • 支払金額が可処分所得要件(*2)を満たすこと(※給与所得者等再生を利用する場合のみ)
  • 支払金額が清算価値保障の原則(*3)を満たすこと